外債販売がユニークなエイチエス証券に口座作りました

損益換算の手間を考えれば、証券会社の口座は少なくした方が良いのはわかっていますが、また証券口座を作ってしまいました。

エイチ・エス証券

この証券会社は外債に強いことを謳っていたので、米国の金利上昇局面や新興国通貨の暴落局面で考える選択肢として準備しておくのが良いと思いました。エイチエス証券は、エイチアイエスの会長の澤田秀雄さんが社長です。旅行業界に改革を起こした様に、普通の証券会社と違うアプローチが見えて感銘しました。口座を作るにあたって、外債そのものリスクより、証券会社が提供する外債関係の商品性から考えてコメントしてみます。

 

 償還時の為替リスクをヘッジできないのでは?

新興国債券はほぼ円貨決済が多い

満期を迎えて償還時の通貨選択が問題になります。例えば償還時に円高であればそのまま損が確定します。新興国債券は通貨の流動性なのか証券会社の事情なのかほぼ円貨決済型が多いです。先進国であればMMFで維持することも可能な商品もあります。

例)SBI証券で販売しているブラジルレアル債(円貨決済型)

 

エイチエス証券は、多くの商品で現地通貨で維持が可能で、現地通貨建てMFFで保有することは可能なことはわかりますが、ロシア・ルーブルやトルコリラ等も可能です。償還時のみ為替手数料が割安になる仕組みと併用ですが、ユニークな商品価値に努力している様に見えます。下記はエイチエス証券のページから引用です。

 

外債はそもそも購入機会が少ない

米国債は各証券会社で購入することができますが、国債は需給面もあり流通量が少ないです。今年サウジアラビアが初めて国債を発行しましたが、一般投資家には絶対に回っては来ません(サウジアラビアが初の外国向け債券を発行)。ネット証券だとブラジルやトルコ等、財政赤字で国債を海外に販売し通貨を切り下げている様な国が多いですが、エイチエス証券を見ると既発債も欧州等、幅広く販売しており、ゼロクーポン債等もあり興味深い商品ラインナップです。各国の国債情勢や金利状況で投資選択をしてもよいかと思いました。

下記は2016年の春にエイチエス証券で売り出していたゼロクーポン債です。ユニークですね。僕は春にルーブル高を期待し、ロシアへの投資を探していましたが、選択肢は少なく結局ADRでロシア株を購入したのみでした。結果論ですがルーブルは当時1.5ルーブル/円で、2016年12月Endは1.95ルーブル/円で推移しています。経済制裁下で財政が厳しいロシアですが、原油高でルーブルは順調に推移しています。

外債に連動するETFや投資信託で良いのでは?

購入手数料が高い

投資信託で外債に投資することもできますが、購入手数料や信託手数料が高い商品が多いです。僕は中国元建て社債の投資信託を5年以上持っていますが、毎年手数料が1.8%程惹かれ、税引き前で2.6%程度です。

償還期限がない

ETFや投資信託は償還期限がないので「満期まで持ち続ける」ことができないのも債券そのものが持つ特性と異なります。失敗例になりますが、「SMT 米ドル建新興国債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)」という新興国債券型の投資信託を所有しています。利廻りは新興国通貨程でないですが、新興国が発行するドル建て国債であり、かつヘッジをつけてればリスクはずの少ない商品ですが、トランプ相場と債券バブル崩壊で一気に十数%下落しました。信託報酬料は0.648%/年で、こんな時に「金利を受け取ってのんびり満期まで待つ。」という債券の特性を活かせないと思いました。

SMT 米ドル建新興国債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)のチャート

ETFなら手数料は安いしリスク分散するよね?

個別選定が難しく、リスク分散するのであればETFが良いと思います。米国は幅広い選択肢があり特に困りません。欧州・新興国は選択肢が少ない上、国の情勢も特性も異なり投資判断は難しいと思います。僕は少しだけ「iシェアーズ 新興国債券ETF(Local EM国債コア)(1362)を少しだけ所有しています。下記がファクトです。毎年どこかで現地政リスクが発生する国ばかりで冗談みたいな商品です。トルコとメキシコは来年もインフレが厳しい状況が続いていますが、ブラジルとロシアは少しづつ金利も下がりつつあります。タイは政策金利が1.5%でデフレに苦しんでいますし、ポーランドはマイナス金利です。内部の債券で相関性が薄まりつつあります。一方、欧州先進国でも政状も利率も異なるドイツと、イタリア・スペインを国債をETFを販売はしていないです。

償還期限が長いのでETFの方が良いのでは?

実債券は長期保有する前提が強いので、ETFや投資信託にはないデメリットだと思います。値動きはありますが、債券は途中売却ができます。しかし実際は証券会社によって高い売却手数料を取られます。以前、とある証券会社に債券売却時の手数料計算式を聞いたら教えて頂けなかった経験があります。エイチエス証券では売却は”為替手数料”だけと営業の方に言われました。本当でしょうか?本当であれば債券高、円安時の途中売却も選択肢が広がるのでより運用しやすいと思います。

 

為替手数料が高いのでは?

為替手数料が必要で、特に新興国通貨は為替手数料が非常に高いので手数料負けしてしまうのも気になります。下記は2016年5月に調べた時のデータです。トルコリラは往復で金額の13.4%、メキシコは10.1%です。これで、”金利約5%の4年満期のメキシコ国債”などの商品を販売しているのですから、実際は利金の半分は為替手数料で消えます。メキシコペソはその後トランプ政権の誕生によって大きく下落しています。

手数料もユニーク

エイチエス証券の為替手数料を見ましたが、安くはないけど償還時の手数料考慮や金額に対して割引があり外債を売りにしているだけはある印象です。例を上げると、トルコリラはSBI証券が2.5円に対して、0.3〜1.8円と安いです。ロシアルーブルはSBI証券が0.08円に対して、エイチエス証券は0.05円です。一方香港ドルや少額のUSドルはSBI証券の方が手数料が安いです。また利払・償還時は為替手数料が安いことも特徴的です。ただし、途中売却や償還後現地通貨で受け取るとその恩恵が受けられないことになります。

まとめ

調べてみて、一般投資家に外債を商品として販売をするための環境作りと、商品設計を他社よりも遥かに努力しているのが好感が持てました。外債そのものがリスクが高い商品ですが、いざそのリスク取ろうと購入する際には他の会社以上に選択肢を与えてくれます。一方で「今が外債購入のタイミングか?」と言われると適切でない気もしますが、2017年〜2018年に米国債を購入するタイミングがあるかもしれないと思っていますし、トランプ政権と原油価格によって復活しているロシアや、政権の混乱で混乱を極めているトルコ等、地政学上興味深くタイミングが合えば少額購入を検討したい考えたいと思います。

コメントを残す